FXブローカー検証のお部屋

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GEMFOREXの大罪

2023年の6月末にGEMFOREXが破綻してしまいました。FX取引をしている者にとってはショッキングなニュースでしたし、「自分が使っているFXブローカーは大丈夫なんだろうか?」という心配が沸き起こることになりましたし、「FXブローカーってどうやって選べば良いんだろうか?」という不安を抱くきっかけになったかと思います。

GEMFOREXは、破綻に至った背景の説明を次のように行っています。

 

サービス停止に至った背景
1.集団による第3者名義貸し&口座転売
2022年中頃から集団による第3者名義貸し&口座転売にて利用規約違反によるボーナスアービが横行し大きな損失が発生

2.決済代行会社(A社)による35,879,651 USD(約50億円)持ち逃げ
2022年後半、決済代行会社(A社)による約50億円の持ち逃げが発生。

3.決済代行会社(B社)による1,098,709,370円 (7,996,429.18 USD)の未払い
2022年後半、決済代行会社(B社)による約10億円の未払いが発生。

この3つが同時期に発生した事で資金難に陥り出金遅延が継続的に発生し、大幅な出金遅延につながりました。本件につきまして、新しい経営陣と協議の結果、このままサービスを継続させる事より、まず、この事への解決を進める事が先決と考え、2023年5月31日(水)にサービスを一時停止とさせて頂く事になりました。(上記に関するご質問はお受けしておりません)加えて、SNSなどのネット上で事実と異なる噂を拡散し、集団で弊社を倒産に追いやる行為に対する一時的な休止でもございます。

 

これによると、決済代行会社2社合計で、約60億円の持ち逃げ・未払いが発生したことが大きな要因になっていることが分かります。

ここで疑問に感じるのが、これほどの大きなお客様の資金が決済代行会社に滞留していたという点です。仮に1回100万円の資金を送金したとした場合、60億円という金額は6000回分の送金に相当します。一般的には、決済代行会社は入金と出金の両方を代行しますから、代行会社の口座にどんどん資金が積み上がっていくという状況は考えづらいように思います。GEMFOREXへの入金の方が出金よりも格段に多く高額だったとしても、これほどの資金を代行会社に滞留させる理由が分かりませんし、どのような契約を結べばこれほど高額の資金を代行会社に預けることになるのでしょうか。しかも、その資金が無くなれば会社が存続できなくなるような規模なのです。わたしが経営者であれば、どこの誰だか分からない単なる決済代行会社にそのような資金を預けるなんて、恐怖感に支配された日々を送ることになりますから、絶対にやりません。

それに、本来は信託銀行などに分別預金して管理すべきお客様の資金が、自社でもない第三者の企業の口座に滞留していたという事実です。お客様の資金が第三者の企業の口座に滞留していたということが真実だとしたら、これらの資金を自身の口座で運用していると認識していた顧客の資金は、実際には存在しなかったと言うことになるのではないでしょうか? つまり、完全なノミ行為を行っていたと言うことです。お客様のオーダーはインターバンク市場には流れておらず、全てGEMFOREXで呑んでいたということになります。当然ですが、GEMFOREXは営利企業ですから利益を生まなければなりません。と言うことは、GEMFOREXと顧客の間には利益相反の関係性があったということです。当然、GEMFOREXは利益を出していかなければなりませんから、顧客に儲けられては困るわけです。当然、そのためには色々なことを背後で行っていたことでしょう。

これらの資金は顧客の資金ではなく会社の資金であって、顧客の資金はちゃんと分別管理していたと主張するのであれば、顧客に資金を返還できているはずで、実際には返還できていないわけですから、お客様の資金管理がでたらめなものだったと言うことです。

また、1つ目の理由に「第3者名義貸し&口座転売」による損害が挙げられていますが、KYCの不備と不正なトレードの監視が行われていなかったことを物語っているのではないでしょうか。

そのいずれの理由も、真っ当なライセンスも保有せず、顧客の資金に対する認識欠如が甚だしい状態で運営していたために発生した破綻事例ではないでしょうか? 無責任極まりないですし、そもそも預け入れられた資金を顧客の資金だという認識すらなかったと言われても仕方ないでしょう。

GEMFOREXが保有していたライセンスは、セイシェルのFSAから発行された外為取り扱いライセンスに過ぎず、ランクとしては簡単に取得できるレベルのライセンスに過ぎません。また、ニュージーランドのFSPRから受けたライセンスは偽ライセンスの疑いが持たれています。このようなブローカーを選択すべきではありませんね。

もし、GEMFOREXがFCAの監督下にあれば、このような事態に至ることはまずありませんが、GEMFOREXがFCAの要件を満たす運用体制を取れたかどうかと言うと非常に疑わしいですね。まず、経営者のスタンスが非常に疑わしいですし、所詮はまともなFXブローカーを目指していたわけではないことは明白です。