FXブローカー検証のお部屋

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自動売買に飛びつく前に!!

FXをやり始めて自動売買ソフトに興味を持つ方が多いらしいですね。もの凄い利益を生んでいて、右肩上がりの収益折れ線グラフを見せられて、「こんなに利益が出るんなら使おう!!」と飛びついてみたものの、実際にトレードを始めると上手くいかないとか、あっという間に資金が無くなったという話しはよく聞きます。

10月30日に投稿した「詐欺広告に引っかからない!」でもお伝えしたように、捏造データで人を欺くようなものではないとしても、やっぱり自動売買ソフトを導入しようとする時には慎重になるべき点があります。

今朝、とある自動売買ソフト(EA)の開発者さんのサイトを見ていて、「あっ、これマズい」と思ったものがあります。その一部キャプチャが次のもの。「バックテスト結果」で9年間連続プラス収支という情報です。開発者さん、ごめんなさいね。

このバックテストが信頼できる正確なTickデータを元に、かつ、そのデータがスプレッドの変動も考慮されているもので行われたという前提で話しを進めたいと思います。

 

皆さんだったら、これを見てどう思いますか? 「儲かりそう!!」とか「試してみたい!!」とかって思いますか?

確かに、過去9年間のデータで勝ち続けています。それは嘘じゃないと思います。でも、それは過去のデータを元に最適化しているだけかもしれません。というか、過去のデータで勝てない自動売買ソフトだったら誰も相手にしないですし、開発段階のソフトのトレード手法の善し悪しの判断は過去のデータでやるしかありません。だから開発者は過去のデータで勝てる自動売買ソフトを開発します。でも、過去と同じチャートが今後も出てくるわけではないですね。

そして、最も注目して欲しいのが、Average Winの数値Average Lossの数値です。Winは13.31 pips、Lossは-13.43 pipsですね。リスクリワード(RR)0.99勝ちトレードの平均利益よりも負けトレードの平均損失の方が大きいのです。これを4文字熟語にするとしたら『大利』と書けますが、勝率が5割を越えていなければ利益は出ないんです。過去のデータであるチャートを元に作り上げたアルゴリズムとパラメータが、誰も予測できない将来のチャートで通用するかどうかは分かりません。そこで、プロの投資家はリスクに焦点を合わせることで、トレードに投下する資金が潜在利益に見合うかどうかを見定めています。そして、リスクリワードはそのトレード手法に価値がどの程度あるかを図るために利用されます

 

リスクリワードの計算式は簡単で、次の通りです。

 

リスクリワード = 勝ちトレードの平均利益 ÷ 負けトレードの平均損失

 

キャプチャ画像を例にすると、

リスクリワード(RR) = 13.31 ÷ 13.43

という計算式ににあり、それは 0.99106478 になります。

 

勝率が5割だと資金はどんどん減っていくということですね。この自動売買ソフトはリスクリワードが0.99だけど、勝率が64.94%だから、つまり勝率が良いから儲けが出ているというわけです。

「勝率が良いんだからいいんじゃない?」って言う方もいらっしゃると思います。確かにその通りです。でも、誰も予知できない将来も同じように勝ち続けられるのでしょうか? プロのトレーダーでさえもそんなことできないですよね。そこでプロのトレーダーが見るのがリスクリワードの値なんです。

トレードスタイルにもよりますが、最適なリスクリワードは2以上、あるいは3以上と言われています。つまり、プロは勝率が5割を下回っても利益が出るトレード手法を選んでいるということです。リスクリワードが2ということは損失額1に対して利益額が2ということ、これだと33.3%の勝率でプラマイゼロということで、勝率が33.3%を越えれば利益確定となります。リスクリワードが3ということは損失額1に対して利益額が3ということ、これだと25.0%の勝率でプラマイゼロということで、勝率が25.0%を越えれば利益確定となります。

 

あなただったらどちらのトレード手法が安心出来ますか? どちらのリスクが低いと思いますか?

 

わたしだったら、「3回に1回、あるいは4回に1回勝てればマイナスにはならないよ」っていう方が安心出来ますし、それを選択します。「2回に1回じゃマイナスだから...」と言われた瞬間に不安だらけになっちゃいます。

 

ですから、利益の数字や勝率の数字、右肩上がりの収益折れ線グラフに惑わされないで、必ずリスクリワード(RR)の値を確認してください。リスクリワードが0.2とか0.5とかいう数字だったら絶対に手を出しちゃいけません。リスクリワード0.99が悪いというわけじゃありませんが、利用すべき自動売買ソフトがあるとするなら、それはリスクリワードが2以上あるいは3以上のものだけにしましょう。

 

さらに言うなら、バックテスト環境、つまり利用するTickデータの信頼性や常時変動するスプレッドの幅を考慮しているのかどうか(固定スプレッドなんてダメです)は重要です。そして、バックテストだけしかデータが無いものは信頼しない方がいいです。リアル口座でのフォワードテストのデータがあって、かつリスクリワードが高いものだけを利用しましょう。信頼できる開発者さんであれば、myfxbookを利用してリアルサーバーでのフォワードテスト結果を公開しています。ただし、それでも利益を積み上げていけることが保証されたわけではないという点は知っておいてください。リスクをできるだけ低くして、利益が生まれる確率を上げることが大切です。あなたの資産を守るために、絵に描いた餅に飛びつかないでくださいね。

 

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